腰の痛みの背景にある原因とは?治療法も詳しく解説!

腰痛は、日常生活に大きな影響を与える症状で、多くの人が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。特に慢性的な腰痛に悩まされる方にとって、腰の痛みの原因や、適切な治療法を知ることは症状改善のための第一歩です。実は、腰痛の背景には筋肉や骨、神経など、さまざまな要因が関係しています。今回は、腰痛の主な原因から、専門的な治療法、そして日常でできるセルフケアについて詳しく解説していきます。
目次
腰の構造
最初に、腰の構造について簡単に見ていきましょう。腰の骨や関節は下の画像のように、2つの「腰椎」という骨で成り立っています。
L1~L5が腰の骨です。青い部分が椎間板といわれる、水分をたくさん含んだクッションです。その後ろの緑の部分が神経になっています。
よく聞いたことがある、椎間板ヘルニアは、腰骨の後ろ側の神経が、骨と骨の間のクッションとなる椎間板(下の図の青色の部分)が飛び出して、圧迫された状態のことをいいます。

腰痛の原因とは?
腰痛の原因は複雑で、筋肉や骨、椎間板、神経、さらには姿勢や生活習慣も関係しています。腰痛の原因について主な要因や日常生活との関連性、加齢による変化を中心に詳しく見ていきましょう。
腰痛を引き起こす主な要因
腰痛の原因として最も多いのが「筋筋膜性腰痛」と呼ばれるものです。筋肉の疲労や過度な緊張が腰部の痛みを引き起こします。しかしながら、これはレントゲンなどの画像診断でははっきりとわかりづらいため、明確な根拠が示された治療法が示されていないのが特徴です。
他方で、画像で明確にわかる疾患も多くあります。
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症
- 椎間関節炎
- 腰椎分離症・分離すべり症
- 側湾症
上記は一例ですが、これらのように明確に診断がつく疾患もあります。
画像診断でヘルニアなどがある場合、痛み止めの注射や生理食塩水を筋肉・筋膜内に打つことで、症状が和らぐケースもあります。
長期間腰痛を患っており、シビレや痛みが強くある場合は、一度整形外科で診断を受けることが良いでしょう。
今回は最初にお伝えさせていただいた、原因や治療法がはっきりと示されていない、筋筋膜性腰痛に焦点を当てて見ていきましょう。
筋筋膜性腰痛の考えられる原因
筋筋膜性腰痛の原因は、はっきりと示されていませんが、いくつかの可能性は様々な論文や研究で言われています。
・多様性の少ない姿勢や動き
いわゆる、長時間デスクワークや立ち仕事のことです。一日の中で動きの多様性が少ないと、腰の大きな筋肉や筋膜の動きが悪くなり、中にある神経や痛みのセンサーが過敏に反応してしまうと考えられています。
・オーバーワーク
使いすぎも原因の一つとされています。
例えば、ランナーが走り過ぎで足をたくさん使うことにより、足に痛みが伴う。そのような原因と似たものが、腰痛にも起こり得ると考えられます。
同じ部分(今回は腰)の使いすぎにより、その部分に乳酸が蓄積し、その部分の筋肉や筋膜などの濃度が酸性となり、癒着を起こすと考えられています。
筋膜と動作の関係性
筋膜は全身を包み込む結合組織で、筋肉や骨を支えるだけでなく、体の動作を滑らかにする役割を担っています。しかし、ストレスや姿勢の崩れによって筋膜が硬くなったり癒着したりすると、動作が制限され、腰痛の原因となることがあります。近年では、筋肉だけではなく、筋膜の健康を保つことで、関節や筋肉がスムーズに動き、腰痛の予防・改善に役立つと言われています。
腰痛の治療法について
腰痛の治療は、原因や症状の程度に応じて異なります。整形外科で明確に治療が必要な場合は、医師の指示が必要ですが、筋筋膜性腰痛などの原因がはっきりとしない場合に有効な治療法を見てみましょう。
姿勢・動きの調整
お仕事や生活において、持続的な同じ姿勢や、同じ動作のくりかえしを避けることがまず第一歩として大切です。 デスクワーカーの場合は、適度に立ったり、歩いたりする習慣づけがよいでしょう。
あたためる
また、適度に温めることで血行を促進し、痛みが緩和される場合もあります。日常生活でのストレス管理もセルフケアとして有効とされています。
有酸素運動
有酸素運動も近年腰痛改善に有効と言われています。有酸素運動を行うことで、代謝促進や血流改善が望め、結果的に筋膜や筋肉に弾力性を与えると考えられています。さらに、ストレス管理にも有効という研究も多くあります。
トリガーポイント注射
生理食塩水などを、癒着が起きている筋膜の間に注入する方法です。
実際に筋膜の癒着が起こっている部分に神経が引っかかると痛みとして現れることがあるため、その部分にに水を注入し、引っかかっている神経などを解放する治療法です。
徒手療法(手で行う治療)
筋膜リリースや、関節のモビライゼーションなど、セラピストが行う、手技操作が筋筋膜性腰痛に効果的であると示されています。
中でも理学療法士が行う研究が多く、中でも様々な手技の訓練を受けた理学療法士の手技がよりよいと思われます。
自宅でできるセルフケアから医療機関での治療まで幅広い選択肢があり、症状の改善に役立つ選択肢を理解することが大切です。
Gym Natでの腰痛へのアプローチ
Gym Natでは、腰痛の改善に向けた多角的なアプローチを行っています。特に、筋膜リリースと動作改善を組み合わせた治療法が高い効果を上げています。施術では、まず体の状態を丁寧に評価し、筋膜の緊張や癒着を解消することから開始してきます。
筋膜リリースは、筋肉や関節の可動域を広げるだけでなく、全身のバランスを整える重要な施術です。このアプローチにより、腰痛が改善されるだけでなく、体全体の動きがスムーズになることを実感していただけます。さらに、施術後には日常生活で実践できるストレッチやエクササイズを指導し、再発を防ぐためのケアをお伝えしています。(必要に応じて、連携先の医療機関にご紹介させていただくこともございます)
Gym Natでは、腰痛の根本的な改善を目指し、一人ひとりに寄り添ったサポートを提供しています。
Q&A
Q.腰痛にすぐ効くセルフケアはありますか?
A.腰痛に対して即効性のあるセルフケアとしては、温熱療法や軽いストレッチやマッサージが効果的です。患部を温めて血行を促すと、筋肉の緊張が和らぎ、痛みが軽減することがあります。
Q.腰痛は運動で改善できますか?
A.骨などの構造に問題がない場合は改善の見込みがございます。
腰痛に適した運動を取り入れることで、筋肉の柔軟性と強化が進み、痛みの予防や改善に役立ちます。過度な負荷を避け、無理のない範囲で行うことが大切です。
まとめ
腰痛は、日常生活に多大な影響を及ぼすものですが、原因を理解し、適切な治療やセルフケアを行うことで、症状の改善や再発防止が期待できます。特に、早期の対策や生活習慣の見直しが重要です。腰痛に悩んでいる方は、この記事を参考に、最適な治療法を見つけてみてください。
参考文献
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Nutter, P. (1988). Aerobic exercise in the treatment and prevention of low back pain.. Occupational medicine, 3 1, 137-45 .
Ahmed, S., Khattab, S., Haddad, C., Babineau, J., Furlan, A., & Kumbhare, D. (2018). Effect of aerobic exercise in the treatment of myofascial pain: a systematic review. Journal of Exercise Rehabilitation, 14, 902 – 910. https://doi.org/10.12965/jer.1836406.205.
【記事作成者】
坂倉 健太(理学療法士)
総合病院、整形外科クリニック、プロアスリートチームのトレーナーの経験を経て、治療院での施術を行なっています。医学的な視点から、痛みの治療法や身体のパフォーマンスを上げるためのトレーニング方法などを発信。新しい論文やトレンドなども参考にお伝えいたします。痛みを減らし、からだを動かすことの楽しさを知っていただくことをモットーに、少しでもみなさまの力になれればと思っております。