ばね指(弾発指)の原因と改善法

目次
ばね指とは?
「指を曲げ伸ばしするときに“カクッ”と引っかかる」
「朝、指がこわばって伸びにくい」
そんな症状がある方は**ばね指(弾発指)**の可能性があります。
ばね指は、指を動かす腱(屈筋腱)と、その通り道である**腱鞘(けんしょう)**の間で炎症や肥厚が起こることで、腱の滑りが悪くなり、引っかかりや痛みが生じる状態です。
特に親指・中指・薬指に多く見られます。
主な症状
- 指の付け根(手のひら側)の痛みや腫れ
- 指の付け根のコリコリした腱を押すと痛む
- 指を曲げ伸ばしするときにカクンと引っかかる感覚がある
- 朝起きたときの指や手のこわばり・むくみ
- 指が固まっている状態
初期のうちは軽い違和感でも、放置すると腱の変形や癒着が進み、日常動作に支障をきたすことがあります。
なぜ起こるのか?
原因の多くは手の使いすぎと筋膜・腱の滑走不全が原因と言われています。
- 長時間のスマホ操作やパソコン作業
- 家事や育児などで指をよく使う
- ホルモンバランスの変化(更年期・妊娠期など)
- 糖尿病やリウマチなどの持病
これらが続くと、腱や腱鞘が摩擦を起こして炎症が発生します。
特に前腕の筋膜が硬くなると、腱が常に引っ張られる状態になります。
ばね指の治療法
ばね指の治療は、症状の段階によって保存療法(手術をしない治療)と手術療法に分かれます。
① 安静・生活指導
まずは指の使いすぎを避けることが基本です。
家事やスマホ操作など、痛みを感じる動作を控え、患部の炎症を落ち着かせます。
必要に応じて、テーピングや装具で動きを制限することもあります。
② 投薬・注射(医療機関での対応)
整形外科では、炎症を抑えるために消炎鎮痛薬(湿布・内服)やステロイド注射が行われることがあります。
一時的な効果はありますが、再発予防のためには原因の改善が欠かせません。痛みが強い場合は優先されることが多いです。
③ 筋膜リリース・徒手療法
ばね指の多くは「指だけ」でなく、前腕〜手のひらの筋膜の癒着が関係しています。
筋膜リリースによって腱の滑走を改善し、根本から再発を防ぎます。
特に重要なポイントは以下の3つです↓
- 前腕屈筋群(浅指屈筋・深指屈筋)の滑走制限解除
- 手掌腱膜(手のひら)の癒着リリース
- 腱鞘部の循環改善
これにより、腱の引っかかりや痛みが軽減し、指の動きがスムーズになることが多いです。
また、近年では生理食塩水を腱に注射で注入し、腱の摩擦を軽減させるハイドロリリースなどもあります。これは医師が行う治療法です。
④ ストレッチ・エクササイズ指導
痛みが落ち着いた段階で、再発を防ぐためのセルフケアを行います。
- 指・前腕のストレッチ
- グーパー運動(滑走改善)
- 輪ゴムを使った伸筋トレーニング
これらを組み合わせることで、柔軟性・筋バランス・血流を整え、治療後の安定を促します。
⑤ 手術療法(保存療法で改善しない場合)
炎症や引っかかりが強く、長期間改善しない場合は腱鞘切開術が検討されます。
腱鞘の一部を切開して、腱の滑りを改善する手術です。
多くは局所麻酔で行われ、術後数日で日常生活に戻れますが、リハビリや再発防止のケアが大切です。
まとめ
ばね指は単なる指の炎症ではなく、腕全体の問題として捉えることが大切です。
適切な処置により、痛みや引っ掛かりを取ることが先決です。その後はストレッチや軽い筋トレで血流と滑走を保ち、根本的な改善を目指しましょう。