肩の痛みと腕があがらない方へのアプローチ

先日ご来店いただいた、肩の症状でお悩みの方の一例をご紹介いたします。
【Cさん】
左肩が上がらない。(動かすと痛みを伴う)
6ヶ月前から徐々に肩が上がらなくなった。
しばらくリハビリ通っていたが効果が薄く、途中で通うのをやめた。現在薬も飲んでいない。
目次
【痛みの箇所】
肩甲骨から肩の後ろ側にかけての痛み。
バンザイの角度は130°、横から上げる動きと手を背中に回す動きはさらに制限されていました。
【身体の評価】
今回のケースでは、症状がでてから経過が長く、肩の中の組織が固まってきている時期だと考えられました。
そのため、関節内の組織を柔軟にするためには3パターンの治療方針が推奨されています。
①保存療法 時間はかかりますが、ゆっくり丁寧に肩関節への負担をなるべく最小限にしながら保存的に治癒を促すことです。
②注射 関節周囲に痛み止めの薬剤、もしくは筋膜組織への生理食塩水を入れ、筋・筋膜組織を柔らかくする。
③手術 近年では非観血的肩関節授動術と呼ばれる、身体にメスを入れずに手術を行う技術も盛んです。この場合、硬くなった箇所を手術により柔らかくするため、肩の可動域としては直ぐに拡大するとされています。ただ、痛みや強張りによる制限により、結果的に保存療法と治癒期間は同じくらいと一研究では言われています。
この3つの中で、Cさんの状態は、激しく動かさなければ痛みはなく、日常にそこまで支障がないとのことで、保存療法が良いのではないかというお話しをされていました。(あくまで診断と方針は医師の判断に基づく必要があるため、当院では症状の方針と選択の共有のみさせていただいております。必要がありましたら、連携の医療施設へのご紹介もさせていただいております。)
そこで、まずは肩の状況を把握するため、詳細な検査と動きや組織の確認を丁寧に行なっていきました。その結果、肩関節の硬さの影響により、筋肉や筋膜自体も硬くなっていました。
肩関節の中の治癒には時間を要するため、施術の間隔を空けながらその都度肩の状況を評価し、アプローチをしていきました。
【結果】
可動域は以下のような状態になりました。




痛みはほとんどなく、生活での支障もなくなりました。
今回はCさんご自身で行うストレッチなどのご協力もあり、スムーズに回復が認められました。
今回のケースは筋膜・筋肉に対する施術と、エクササイズを兼ね備えた一例でしたが、肩の痛みに関わらず、首、腰、腕、肘、手、股関節、膝、足など、さまざまな症状にとても有効に働くことが多々ございます。
”痛み”という感覚に加え、”動き”にも持続的に変化をもたらしやすい技術を、少しでも多くの方に実感いただけますと幸いです。
医学的な知識に基づき、少しでも皆様のお力になれますことを祈っております。
何かお困りの際はお気軽にお問い合わせください。