肩の痛みで代表的な8つの疾患とその対処法

肩の痛みは日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、放置することで慢性化しやすい部位の一つです。肩の痛みには多くの原因があります。素早く改善するためにも、ご自身の症状がどの疾患に当てはまるのかを把握しておくことが最も重要です。この記事では、代表的な8つの肩の疾患とその特徴、対処法を解説していきます。
目次
凍結肩・拘縮肩(フローズンショルダー)
特徴
通称「四十肩・五十肩」と呼ばれるています。
肩の動きが大幅に制限される(着替えや洗髪が困難に)。
強い痛みが夜間にも出ることがある。
原因
肩関節の周りが炎症することで、関節を包む袋が硬くなり、肩の可動域低下します。
肩甲骨周りの硬さや猫背の方に多く現れやすいです。
対処法
初期(炎症期):安静・医療機関の受診
拘縮期・回復期:筋膜リリース・温熱療法・関節可動域訓練(プロの指導下で)
反復性肩関節脱臼
特徴
肩が「外れやすい」状態です。
過去に脱臼歴があり、くせになることが多いです。
若年層(10〜20代男性)に多く、スポーツ中に再発しやすいです。
原因
肩関節周りの緩さや損傷によって起こりやすいです。(関節唇損傷、靭帯のゆるみ)
対処法
軽度:肩周りの筋力を鍛える(特にローテーターカフと呼ばれるインナーマッスル)
重度:整形外科でのMRI評価、場合によっては手術(バンカート修復など)
動揺性肩関節(肩の緩み)
特徴
肩がグラグラする、外れそうな感覚
明確な脱臼経験はないが、「不安定感」が持続している状態を指します。
原因
もともとの身体の緩さや筋肉の機能低下、使いすぎによって起こることが多いです。
対処法
筋力トレーニングで関節安定性を強化(主に肩甲骨周りの筋肉・インナーマッスル)
姿勢改善・動作の再教育
石灰性腱炎
特徴
肩の急激な激痛(夜間も眠れないほど)
肩を動かせないほどの痛みを伴うことがあります。
中年女性にやや多い傾向です。
原因
腱板(肩を安定させるインナーマッスル。主に棘上筋という筋肉を指します。)にカルシウム(石灰)が沈着し、炎症を引き起こす病態です。
対処法
急性期:安静・医療機関の受診
回復期:筋膜リリース・肩甲骨の動き改善・姿勢調整
再発防止には栄養(カルシウム代謝)への配慮も有効とされています。
肩峰下インピンジメント症候群
特徴
腕を上げる途中、肩に「痛み」や「引っかかり感」が生じます。
スポーツ選手・デスクワーカーに多いとされています。
原因
腕を上げる時、腱板や滑液包が肩峰(肩甲骨の一部)に衝突(インピンジ)して炎症を引き起こす病態です。
対処法
姿勢矯正(巻き肩・猫背の改善)
肩甲骨・胸郭の可動性向上
ストレッチ+筋膜リリースで肩周囲のスペース確保
腱板断裂(けんばんだんれつ)
特徴
肩を挙げる時に力が入らない。
夜間の痛みが強く、寝返りで目が覚める。
高齢者に多く、転倒や長年の使いすぎで発症しやすいとされています。
原因
腱板(肩を安定させるインナーマッスル)が部分的・完全に断裂
対処法
小さい断裂であれば保存療法で見ていくことが多です。(運動療法・施術)
大きい断裂は手術が有効なこともあります。
術後もリハビリ・筋膜リリースで再建が重要です。
上腕二頭筋長頭腱断裂
特徴
肘を曲げて、ムキッと筋肉を出した時、肘側に筋肉が「丸くたまる」兆候があります(ポパイサイン)。
肩の前側に痛み・脱力感
50代以上の男性に多いです。
完全断裂でも日常生活には支障が少ないケースが多いです。
原因
長年の使いすぎや負荷で腱が断裂。
対処法
基本的には保存療法が多いです。
審美的・スポーツ目的であれば手術を選択します。
筋力トレーニング・動作改善も並行して行います。
投球肩(スローショルダー)
特徴
投球動作時に肩が痛見ます。
可動域に左右差あり、ボールに力が入りづらいです。
主に野球選手やオーバーヘッド動作が多い人に発症します。
原因
肩関節や胸郭の可動性低下、フォームの崩れ、筋膜の滑走不全の原因が多いとされています。
対処法
動作分析と投球フォームの修正
胸郭・肩甲骨の可動域改善(筋膜リリース・モビライゼーション)
腹圧・体幹からの連動性回復
肩の痛みは「放置せず、早めの対処」が重要です
肩の痛みは、「時間が経てば治るだろう」と放置すると慢性化したり、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
それぞれの状態に合わせた正しい評価と対応が、回復の近道です。
石川県金沢市で整体をお探しの方へ
当院では、国家資格保有の理学療法士が対応し、医療・スポーツの現場で培った専門技術を活かした施術を行っています。
肩の痛みにお悩みの方は、まずは一度お気軽にご相談ください。